界面活性剤の特性と形

界面活性剤はどのようにして界面で働くことができるのでしょうか?
その理由は界面活性剤が界面に選択的に集まり、さらにその界面の性質を変化させることができるからです。目的とする機能を発揮できるように化学構造に工夫がこらされています。少し難しい言い方をすると、界面活性剤は分子設計された自己組織化を行う機能性化学物質なのです。

質問5

界面活性剤は界面になぜ選択的に集まるのですか?

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    • 水に溶ける(溶解する)界面活性剤を例にしてお答えします。
      食塩とか砂糖が水に溶ける場合と異なり、界面活性剤の溶け方は特殊です。食塩や砂糖は水に溶けやすい化学構造を持っていますので、水の中に均一に溶けています。
      一方、界面活性剤は1つの分子(化学構造)の中に水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を併せ持つようにデザインされています。このため界面活性剤は水に溶けやすい部分(親水性の部分)は水の中に、水に溶けにくい部分(疎水性の部分)は水の外に出して、なんとか水に溶けています。
      水と油を混ぜると、お互いに分離してしまいますが、そこに界面活性剤を溶かすと水と油の界面に素早く集まり、規則正しく並びます。その並び方は疎水性の部分は油の中に、親水性の部分は水の中に入れて並びます。何も力を加えなくとも、ごく自然に界面活性剤は水と油の界面に規則正しく配列します。化学物質もヒトと同じように居心地の良い場所(エネルギー的に安定な場所)に集まるからです。

質問6

界面活性剤は界面だけにしか配列しないのですか?

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    • いいえ、界面活性剤はいくつもの分子が集まることによって新しい界面を創り出す化学物質です。水の中で界面活性剤は1分子で溶けることはエネルギー的に安定ではありません。数多くの分子が寄り集まると、水に溶けにくい部分同士が近づき、水に溶けやすい部分も近づいてエネルギー的に安定します。その結果中心部分が疎水性の部分で満たされ、表面が親水性の部分で覆われた球状の集合体が自然に形成されます。
      この集合体を技術用語で『ミセル』と呼んでいます。ミセルは内部が疎水性であり、表面は親水性の界面を持つナノレベルの大きさの球体です。

質問7

界面活性剤は水だけにしか溶けないのですか?

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    • いいえ、界面活性剤の中には水には溶けずに油に溶けるもの、プラスチックのような固体の中に練り込んで使用される種類のものもあります。様々な種類の物質に溶けて、機能を発揮できるように分子構造が工夫されています。

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